2017年10月18日

家族だから出来る。家族にしか出来ない。

先生のことばを伝えた日から
とぅさんのがんこちゃんへの接し方は
大きく変わった。
もぅとぅさんに迷いなどなかった。
がんこちゃんが可哀想だから…
などという根拠のない考えも無くなり、
がんこちゃんの未来のために
とぅさんも一緒に考えてくれた。


上手くいかなかった時、
がんこちゃんが泣いて止まらない時は
自分で何とかしようと無理強いとも取れる
絡み合うような行動や発言では無く、
がんこちゃんと一旦距離を置いて
私に具体的に聞いてくるようになった。


今、こんな感じなんだけど
こういう場合ってどうしたらいいかな?


それに対して私が思うことを応えると
その通りにやってみていた。


私は専門的な知識は無いが、
がんこちゃんの問題が分かり始めた
その時からこの頃のとぅさんの葛藤は
経験してきていた。
その都度先生のことばを振り返り
実践してみて
がんこちゃんに合う対応の仕方は
ある程度は分かっていたつもり。
家族で統一させる為
私と同じ対応をとぅさんにもやって貰った。


それまでとぅさんは
がんこちゃんが妹のツムちゃんのことを
衝動的に傷つけてしまう場面を見た時、


こら!


ととびきり怖い顔と声で叱っていた。

それが、変わり始めたとぅさんは
がんこちゃんに謝ることを求めた。
それからのがんこちゃんは
直ぐに謝るということを覚えた。

それを見た私はとぅさんと話した。


とぅさん。
がんこちゃんは何で謝るのか
分かってないと思うよ。
怒られるとただ謝ればいいと思ってる。
多分がんこちゃんがツムちゃんに手を出す時
がんこちゃんなりの理由があると思うの。
それを先ず聞いてあげる方がいいかもしれない。
一度その理由を受け入れて、
でも手を出すのはよくないって伝えてみると
がんこちゃんも理解した上で納得して
ごめんが言えるようになるかなと思う。
私もやってみるから
とぅさんもそうやってみて?


分かった、
気をつけてやってみる。


これまでとぅさんにがんこちゃんの対応のことで
意見したことの無かった私も
先生の


家族で統一することは
がんこちゃんの良い成長に繋がる


ということばから
とぅさんにも
協力して貰うようお願いし始めた。


これまでしなかったがんこちゃんの相談も
とぅさんは真剣に考えたり、
がんこちゃんの謎めいた世界に
とぅさんも一緒に迷い込んでくれた。
自然と私は
がんこちゃんの良い行いでないことも
とぅさんに話せるようになっていった。
とぅさんにとっては重荷かもしれないが
私は随分心が軽くなった。


以前とぅさんは私に言っていた。


俺はがんこちゃんの気持ちがよく分かる。
だからがんこちゃんが怒られていると
自分が怒られているような気分になる。


でも、
がんこちゃんの世界はなかなか
理解出来るようなものではないと感じたのか
行動ひとつひとつが疑問であるようだった。
それだけ表面上以外の
がんこちゃんの姿も見るようになったのだ。


とぅさんの態度が分かり易くなったからだろう、
がんこちゃんもとぅさんに要求することは止め
とぅさんを誘って遊ぶことが増えた。
忙しいとぅさんは
上手にがんこちゃんと遊ぶ時間をつくっていた。


時計に興味を持ったがんこちゃんだが、
長い針と短い針の区別が付かず


長い針が3になったら


などと言うと混乱していた。
壁時計と同じ大きさ
同じ形の時計を
私が段ボールで作った。
針もきちんと回るようにして。
今の時間を壁時計で確認して
遊び終わりの時間を段ボール時計で見て
がんこちゃんに納得させてから
がんこちゃんが決めた遊びが始まる。
その時間になると
音が鳴るようアラームをかけておいて
アラームが鳴れば
今の時間と段ボール時計が一致していることを
がんこちゃんに確認させて
遊びが終わる。
がんこちゃんは要求することもなく
楽しい気持ちのままで
遊びを終えることが出来た。

たくさんの失敗を繰り返し、
がんこちゃんに合う方法を見つけたのだ。


こうやってがんこちゃんのことを
考えられるのも
親であり家族だからだ。




先生が療育中ツムちゃんを見て言った。


すっかりお姉さんのようになりましたね。
何でもやってみたい。
着替えもすぐに出来るようになるでしょうね。
あっという間でしょ?
この子はとても優しい子に育つと思うよ。
だってがんこちゃんのような
大変なお姉ちゃんが傍にいるんだもの。
誰とでも上手に付き合えるようになる。
もっと大きくなると
お母さんを助けてくれる存在にもなるでしょうね。
あなたががんこちゃんのことで手を焼けば
お姉ちゃんにはこうしたらいいよ。
とか
今は何も言わない方がいいよ。
と間に入ってくれるようになる。
がんこちゃんの1番の理解者になるよ。


この頃のツムちゃんは
先生の前でも人懐こく触れ合い、
先生ががんこちゃんに指示する物を
がんこちゃんが探せずにいると、
それを見ていたツムちゃんが見つけ出し
がんこちゃんに渡していた。
その場所での振る舞い方を自分で身に付け
空気を読んで大人しく座っていたり
がんこちゃんの間に入って動いたり、
ツムちゃんの行動にはいつも驚かされた。


先生のことばを受け、

ツムちゃんに負担をかけてしまう…

という思いはもう無かった。
ツムちゃんも家族の一員。
私ととぅさんががんこちゃんのことで
悩んでしまった時
がんこちゃんを慕い
がんこちゃんの理解者であるツムちゃんが
その悩みを解決に導いてくれるのなら、
私たちは家族でひとつひとつの問題を
話し合いながら進んでいける。
がんこちゃんのことを
包み隠すことなく、
がんこちゃんも交えて考えていけば
それ程心強いものはない。
辛いことも苦しいことも
4人で分け合い、
4倍の笑顔で前を向いて
足並み揃えて歩きたい。
まだ始まったばかりの私たちを
これからどんな困難が待っているのか
想像するだけで怖くなる。
世間の厳しい目も
四角い箱に封じ込められるような学校も
これから起こるであろう
家庭の中での闘いのような日々も、
全て避けては通れない。
だから逃げずに進むしかない。


でも私たちはこれまでも
たくさんの経験をして知っている。
人はどん底まで落ちても
這い上がることが出来た時その分強くなれる。


私は母親だ。
とてもいい
お手本のような母親にはなれなかったが、
空回りして美しくない姿を見せても
頭の中は家族のことで溢れている。


朗らかなとぅさん。
奇想天外ながんこちゃん。
癒しのツムちゃん。

みんな私の大切な家族。




躓きそうなら転んでしまえ!!
きっと大丈夫。
私たちは4倍の強さを秘めているんだから。









papikotobatako2 at 06:17コメント(0)家族 | 振り返り 

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